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コクガンの仲間は世界で、3亜種(ないしは4亜種)50万羽がいると推定されています。その亜種とは、
B. b. bernicla ネズミガン シベリア西部などで繁殖し、ヨーロッパ、イギリスへ渡り越冬する。
B. b. hrota シロハラネズミガン カナダ東部、グリーンランドで繁殖し、冬季になると北アメリカ大陸東
部、イギリスへ南下し越冬する。
B. b. nigricans クロネズミガン カナダ西部、シベリア極東部、アラスカ州で繁殖し、冬季になると北ア
メリカ大陸西部へ南下し越冬する。
B. b. orientalis コクガン シベリア東部で繁殖し、朝鮮半島南部、日本(主に東北地方以北)、渤海沿岸
部へ南下し越冬する。 ・・・・ です。
日本に渡来するコクガンは、B.b.orientalisとなりますが、世界的には日本のこの亜種は存在せず、B.b.nigricans クロネズミガンが渡来するという説もある。実際に北米北極圏で標識放鳥されたクロネズミガンの9羽が日本の南三陸で確認されています。
いずれにせよ、10月中旬頃から渡来が始まり、道東各地(野付湾・風連湖・国後島ケラムイ・厚岸湾など)のアマモ場がある湾内に、推定8,000羽程が渡来していると考えられています。その後、12月中旬以降、道東各地の湾内の凍結が始まると、北海道南部や本州各地へ南下していきます。
主な越冬地は、北海道函館湾、青森県陸奥湾などが知られており、道東コクガンネットワークの調査では2500羽以上が越冬している事が確認されています。
3月下旬頃から春の渡りが始まり、道東各地のアマモ場に秋の渡りの約半数にあたるコクガンが道東各地を通過する事がわかっています。その後、5月上旬には終認となり、6月上旬には繁殖地であるロシア北極圏へ渡る事になります。
コクガンは、他のガン類に較べて、渡りのルートや亜種の確定を含め、その生態が明らかになっていない部分が多いことより、道東コクガンネットワークを始め、国内外の研究者がその解明に努めています。